Chantori Blog

Medical Physics / Monte Carlo Simulation / Medical Image Processing

NEAAPMに参加しました

New England Chapter of the AAPM (NEAAPM)に参加しました。1人ポスター発表をしてきたので、感じたことを書きます。

 

NEAAPMは、アメリカの医学物理学会(AAPM)New England地方の会です。4つの招待講演と、Young Investigator Symposium (YIS) から構成されます。僕は渡米前にやっていたテーマで抄録を出し、ポスター発表で採択されていました。

学会1週間前に送られてきた学会のプログラムを見て驚きました。口頭発表は8名、ポスター発表者は2名しかいません。すなわちYISに抄録を出した若手は10人しかおらず、僕の抄録の評価が下から2番以下だったということです。今まさにやっている研究を発表するわけではないという後ろめたさがあり、口頭発表にならなかったことにほっとする一方で、抄録の評価の低さは残念でした。

そもそもNew England地方には、Medical Physicsの専攻のある大学はU Mass Lowellしかありません。研究機関としてはHarvardTeaching HospitalであるMGHDana-Farber, Brigham and Women’s Hospitalと色々とありますが、僕以外の発表者はほぼ全員が、上記の機関に出向しているU Mass Lowellの大学院生か、上記の機関の医学物理士レジデンスでした。

YIS10人とのことで、参加者が20人程度の小規模な研究会を予想していました。しかし実際には、ElectaPTWなどAPM Annual Meetingで見る企業がしっかりとしたブースを用意しており、参加者も50人程度と予想以上の規模でした。会場でRegistrationをすると、事務の人から

Actually, another poster presenter could not make it.

と言われました。要するにドタキャンです。仕方がないのでCanonVarianのブースの間に一枚だけポスターを貼り、1人でポスター発表をしました。

僕の研究内容は米国、特にボストンでは認知されているので、聴衆からも的を突いた質問があり、ボストンに来た意義を再認識しました。AAPM Annal Meetingにも言えることですが、口頭発表をしてもあまり有意義な議論ができないことが多いので、自分の研究に対する意見をもらう、という観点からはポスター発表の方が口頭発表より適してるのではないかと思います。逆に自分の研究をより多くの人に知ってもらうのが主な目的であれば、口頭発表が最も効果的でしょう。

少規模な学会なので仕方がないことではありますが、今回の演者の研究内容は医学物理の領域の中でもかなり偏っているように思いました。ボストンが医学研究のシリコンバレーと呼ばれているだけあり、生物物理に重きをおいた研究が目につきました。一方で画像再構成や線量計アルゴリズム機械学習などのテーマは、本場のシリコンバレーの方が盛んなのかもしれません(完全な主観です)。

若手同士の交流を促すイベント等もあり、大学院生・医学物理士レジデンスの知り合い増える良い機会になりました。特にレジデンスの人たちは他の施設にいても、頻繁に僕の居室に講義を受けに来るので、今後も交流が続いていくと思います。しかし若手の口頭発表を見ても、自分の研究が彼らの研究より低く評価されたことに納得がいかない気持ちもあります。抄録とSupporting Documentの書き方が悪かったのでしょうか。

 

ミュンヘンに本社を置くhumediQ社の方から、メガネ拭きをもらいました。本人曰く、スーツのハンカチーフとしてもクールだそうですが、AAPM Annual Meetingのレセプションなどで使えるのでしょうか...?

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