Chantori Blog

Medical Physics / Monte Carlo Simulation / Medical Image Processing

Month6: Sweet Caroline

留学も折り返し地点です。米国で過ごす残りの時間に意識が向き、過ごしやすくなってきたボストンの気候に浮かれていられなくなってきました。

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 今月はAAPM(米国医学物理士会)のBoard Examケンタッキー州でありました。日本の医学物理士試験はペーパーテストですが、米国では最後に口述試験があります。米国の制度は、日本と比較するとMedical Physicstになるまでの訓練期間がとても長いようです。PhDを他の分野(加速器、高エネルギー物理、天文学システム開発等)で取得後、ポスドクから医学物理の分野に参入する方も多く、ポスドクでも医学物理士カリキュラムに沿った授業を毎週受けています。日本で医学物理士になる方は遅くても博士課程までには医学物理の分野に入ってくるケースが多いのではないでしょうか。しかし、米国のように博士課程まで別の分野で研究するというのは、分野の裾野を広くすることにつながるので、個人的にはとても良いと思います。そもそも医学物理自体が多分野の融合でできている分野です。

 ボストンで過ごした半年の研究を振り返ると、当初の目論見通りに行かないことは多々ありましたが、成果・スキル・経験のいずれにおいても想定以上の出来でした。このように充実した時間を過ごせた要因を自己分析すると、

  1. 共同研究者の方々が想像以上に協力的であったこと
  2. 研究上の様々なタイミング(抄録提出締切や実験等)が噛み合ったこと

が大きかったと感じています。そして、この半年間で自分が学んだ事の多さを考えると、そういう知識・経験を私よりも長い間積み重ねてきた年長の方々に対し、尊敬せずにはいられません。

 半年間で研究室内外に多くの友人ができ、英語も上達した気がします。これまで英語は日本語と比較して論理的で直線的な”ドライ”な言語だと考えてきましたが、英語にも様々なレベルでの”ぼかし方”があることがわかってきました。そしてインテリは会話の隅々に”丁寧さ(お世辞)”を潜ませるような話し方をしており、私の中での英語の”湿度”が上がってきました。私ももう少しジメジメした会話をできるようになりたいものです。

 幸いにも日本でやり残してきた仕事と、米国で最初に取り掛かった仕事の両方にめどが立ち、次の半年では、いよいよ大きい仕事に取り掛かろうとしています。いつの間にかボスからはお客様扱いをされなくなり、他のポスドク達と同様に指導を受け、成果を求められます。留学当初に胸に抱えていた”ギラギラ感”を思い出し、また再スタートを切りたいと思います。半年後には新しい景色を見ていたいものです。

先月生まれたカナダグースの雛達はすくすく育っています。

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