Chantori Blog

Medical Physics / Monte Carlo Simulation / Medical Image Processing

Week10: NY

今週は医学物理士Residencyの発表会や面接等があり、先生方は忙しそうにしていました。研究ではチームミーティングで定まった方向性にオリジナリティを加えて、説得力のあるストーリーを組み立てようとしています。

 

 See you soon at Times Square!

ニューヨークを訪れている友人に会いに行ってきました。待ち合わせ場所はタイムズスクエアです。

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ボストンからmegabusで5時間半(予定よりも1時間15分遅れ)で到着した夜のタイムズスクエアは、バック・トゥ・ザ・フューチャーでの「未来」を思い出させるような光景でした。

 

昼から雨予報でしたので、マンハッタンの南を素早く回りました。

ワールドトレードセンター→9/11 Ground Zero→Battery Park(自由の女神像が遠くに見える公園)→ウォール街ブルックリン橋→The Museum of Modern Art→ エンパイアーステートビルと、1日で10km以上歩きました。

f:id:chantori:20180213131402j:plainBattery Parkからの眺め。自由の女神像が船の右側に見えます。

ニューヨークの名物の1つに、スモークサーモンのベーグルサンドイッチがあります。一番人気のお店、Russ & Daughtersは混みすぎて断念し、Black Seedに行きました。ベーグルもサーモンも美味しかったです。

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しかし、2日間降り続いた雨と、New Englanderとしてのボストン贔屓を差し引いても、残念ながらニューヨークは住みたいと思うような街とはいえません。騒音・渋滞・治安など、全ての面でボストンの方が個人的には好きです。-メトロポリタン美術館を除いては。

世界3大美術館のひとつに数えられるメトロポリタン美術館は、古今東西のあらゆる美術品を展示しており、歴史や文化まで網羅する、素晴らしい場所でした。美術の素養が皆無でも、解説オーディオのお陰でランチも忘れて1日中見て回ることができました。

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オーディオの中で繰り返し強調されていたのは、洋の東西・時代を超えた、美術の連続性です。例えばメソポタミアで作られた像が古代エジプトの王と王妃の像を参考にしながらも、高い技術力でより美しい姿に昇華させていたり、フェルメールが絵の中に、当時欧州と激しい戦争を繰り広げていたオスマントルコのトルコ絨毯を完璧な構図で収めていたり。

連続性に注目する中で気づいたことは、美術において評価されるものとは、「新規性」と「重要性(または技術の高さ)」を持っているという点で、研究に共通するのはという事です。例えば解説なしにモネのの作品を見ても、その作品がどのくらい優れているのか、僕には評価できません。しかしそれまでの美術史という文脈で見ると、淡い色使いや輪郭をはっきりと描かない技法が画期的であり、後世に大きな影響を与えているがために、評価されているのだと知りました。

すなわち、美術館の展示そのものが、科学研究でいうところの一種の総説(レビュー)論文のようなもので、たとえ1つひとつの作品(論文)が今現在の最先端ではなくても、当時の文脈の中では画期的であり、世界にとって重要な一歩となった、そういうものの集まりという点で、メトロポリタン美術館は上質なレビュー論文と共通しているのではないかと感じました。

これを基に研究を考えると、例えばフェルメールがトルコ絨毯を取り入れたように、異分野・異国の技術を取り入れ自分の技術と融合させることこそが、意義あるものを作り出すのに、重要なのではないかと思います。自分にその技術があることが前提ですが。

 

学生の頃に戻ったように、友人と一日中バカ騒ぎをしてふと気づくと、不安とストレスで少し凝り固まっていた心が、いつのまにか融けて柔らかくなったように感じました。ニューヨークという街に似合うのは、晴れよりも雨の日かもしれません。